キュービクルの更新工事では、新しい受変電設備を準備するだけでなく、既存キュービクルの撤去・搬出、新設設備の搬入・据付を限られた停電時間の中で進める必要があります。特に工場や事業所では、停電できる時間があらかじめ決められているケースもあり、重量物工事の遅れがその後の電気工事や受電工程へ影響する可能性があります。
さらに、キュービクルは重量だけを確認すれば施工方法を決められる設備ではありません。クレーンを設置する道路の幅、建物との距離、搬出入スペース、既存基礎の状態、盤の腐食状況、新設設備の据付精度まで確認する必要があります。老朽化した設備では、見た目以上に腐食が進み、通常どおり吊り上げること自体にリスクが生じる場合もあります。
株式会社土屋重量機設が埼玉県の工場社員寮で行ったキュービクル更新では、既存設備の盤底部が錆びており、揚重時に内部の重量物が抜け落ちる危険性がありました。また、クレーンを設置する道路幅が狭かったため13トンクレーンを使用し、8面のキュービクルを分割して搬出しています。撤去後の新設工事では、老朽化した基礎のレベル差を確認し、ライナーによるレベル調整を行いながら6面+2面のキュービクルを据え付け、停電時間内に電気工事業者へ引き渡しました。
この事例からも分かるように、キュービクル更新における重量鳶の役割は単なる「吊り上げ・運搬」ではありません。本記事では、既存設備の状態確認からクレーン選定、分割搬出、新設キュービクルの据付・レベル調整まで、停電時間内に重量物工事を完了させるための考え方を実際の施工経験をもとに解説します。
<目次>
- キュービクル更新では重量物工事と停電工程を一つの計画として考える
- 撤去前に確認したい既存キュービクルの重量・腐食・基礎の状態
- 狭い道路でキュービクルを搬出するためのクレーン選定と施工計画
- 新設キュービクルの搬入・据付・レベル調整で確認するポイント
- 埼玉県の工場社員寮で8面のキュービクルを停電時間内に撤去した事例
- 新設キュービクルを停電時間内に据え付けるための工程管理と引き渡し条件
- まとめ
■キュービクル更新では重量物工事と停電工程を一つの計画として考える

キュービクル更新では、既存設備の撤去と新設設備の据付を「重量物工事」、電源停止・切替・接続を「電気工事」と別々に考えると、工程のつながりが悪くなります。特に停電時間があらかじめ設定されている更新工事では、重量物工事が予定より遅れれば、その後に控える電気工事や受電準備へ影響する可能性があります。重要なのは、停電開始から既存設備の撤去、新設キュービクルの搬入・据付、電気工事業者への引き渡しまでを一つの工程として逆算することです。
—停電時間内にどこまで終えるかを最初に決める
更新計画では、停電開始後に何を切り離し、重量鳶がいつ撤去へ入り、何時までに新設設備を所定位置へ据え付けるのかを事前に決めます。キュービクルは複数面で構成されることも多いため、撤去順序と搬入順序が合っていないと作業スペースを圧迫します。土屋重量機設の施工事例でも、8面の既存キュービクルを停電時間内に撤去し、その後の更新工事へつなげています。
—撤去と据付は同じ現場条件を別の視点で確認する
既存設備を出せるからといって、新設設備を同じ方法で入れられるとは限りません。既存盤の腐食、新旧設備の寸法差、基礎の状態、アンカー位置、クレーン設置条件など、撤去側と据付側で確認項目が変わります。実際の施工では、既存盤の底部腐食や、老朽化した基礎のレベル不良が課題となり、撤去方法だけでなく新設時のレベル調整まで事前判断が必要でした。
—重量鳶から電気工事業者へ渡す状態を明確にする
重量物工事の完了地点は「機器を置いた瞬間」ではありません。指定位置、向き、レベル、固定条件を整え、電気工事業者が次工程へ進める状態まで仕上げることが重要です。停電時間が限られる更新ほど、重量鳶と電気工事を分断せず、引き渡し条件まで共有しておくことが工程遅延を防ぐポイントになります。
また、クレーンの進入時刻、撤去車両の待機位置、新設盤の搬入順序まで事前に共有し、現場での待ち時間を減らすことも重要です。重量物工事の段取りそのものが、キュービクル更新全体を予定どおり進めるための重要な条件になります。
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≫≫≫土屋重量機設のキュービクル更新・据え付けの事例はコチラ|【埼玉県】某工場 社員寮 キュービクル更新工事及び据付工事
■撤去前に確認したい既存キュービクルの重量・腐食・基礎の状態

キュービクル更新では、新設設備の図面だけでなく、撤去する既存キュービクルの状態を施工前に把握することが重要です。長期間使用された受変電設備は、外観から分かる劣化だけでなく、底部の腐食や内部重量物の固定状態、基礎の劣化などが撤去方法に影響します。重量と寸法だけを見て通常どおり吊り上げると、想定していなかった荷崩れや部材脱落につながる可能性があるため、現地調査では「設備として何トンあるか」だけでなく「その状態で安全に吊れるか」まで確認します。
—既存盤の重量・寸法・内部構成を確認する
まず確認するのは、各盤の重量、幅、奥行き、高さ、連結状態です。複数面で構成されている場合は、一体で搬出するのか、面ごとに分割するのかによって必要なクレーン能力や搬出順序が変わります。また、内部にトランスなど重量のある機器が含まれる場合は、重心や固定状態も重要です。古い設備で図面が残っていない場合は、現地で実測し、盤構成と吊り位置を確認します。
—腐食は「吊れるかどうか」を判断する材料になる
老朽化したキュービクルでは、盤底部や架台が錆びているケースがあります。土屋重量機設の施工事例では、盤の底が腐食しており、揚重時に内部のトランスなど重量物が抜け落ちる危険性がありました。そのため、外観だけで判断せず、荷重が掛かる部分の健全性を確認し、必要に応じて分割搬出や支持方法を検討します。
—既存基礎のレベルとアンカー条件まで見る
撤去後に同じ場所へ新設キュービクルを据え付ける場合は、既存基礎の状態も同時に確認します。実際の更新工事では、基礎が老朽化して脆く、レベルも悪かったため、事前にオートレベルで確認し、据付時にライナーを入れて調整しました。撤去だけを見るのではなく、その後の据付まで想定して基礎、アンカー位置、水平状態を確認しておくことが、停電時間内で更新をつなげるポイントです。
また、新設キュービクルの寸法や盤構成が既存設備と異なる場合は、撤去後に使える作業スペースも変わります。既存設備の状態確認と新設設備の据付条件を同じ現地調査で照合しておくことで、当日の工法変更や追加機材の手配を減らしやすくなります。
■狭い道路でキュービクルを搬出するためのクレーン選定と施工計画

キュービクルの撤去・搬入でクレーンを選ぶ際は、設備の重量だけを基準にすることはできません。必要な吊上げ能力を持つ大型クレーンでも、前面道路が狭く車体を設置できなければ使用できないためです。実際の現場では、キュービクルの重量、クレーンから設備までの作業半径、道路幅、アウトリガーを張るスペース、電線や建物との干渉、搬出車両の配置まで確認し、「現場に設置できるクレーンの中でどのように搬出するか」を考えます。
—クレーン能力は重量だけでなく作業半径まで確認する
同じ重量物でも、クレーン本体から吊り荷までの距離が長くなるほど必要なクレーン能力は大きくなります。そのため、キュービクルの重量と設置位置だけでなく、クレーンをどこに据え、どの位置で吊り上げるのかを現地で確認します。さらに道路上から施工する場合は、車両通行や周辺建物との位置関係も含めて作業スペースを検討する必要があります。
—大型クレーンが入らない場合は分割搬出を検討する
埼玉県の工場社員寮で行った撤去工事では、クレーンを設置する道路幅が狭かったため、13トンの小型クレーンを使用しました。既存キュービクルは8面あり、一括して扱うのではなく分割して搬出しています。大型クレーンを無理に使用するのではなく、盤を安全に分けられることを確認し、現場へ設置できるクレーンと分割搬出を組み合わせることが施工方法のポイントでした。
—撤去車両と新設設備の搬入まで同じ配置で考える
キュービクル更新では、既存盤を吊り上げて終わりではありません。撤去した設備を積み込む車両、新設盤を運んでくる車両、クレーンの位置が互いの動線を塞がないよう計画します。特に停電時間が限られる現場では、車両の入替えでクレーンを何度も移動させると時間を失います。撤去・積み込み・新設盤の荷下ろし・据付までを一連の配置として組み立て、クレーンをどのタイミングでどこへ置くかまで事前に決めておくことが、限られた停電時間を有効に使うポイントです。
■新設キュービクルの搬入・据付・レベル調整で確認するポイント

新設キュービクルの据付では、クレーンで基礎の上へ降ろせば完了というわけではありません。複数面で構成されるキュービクルは、それぞれの盤を所定位置へ並べ、隣接する盤との高さや位置関係を整えたうえで、アンカー施工や電気工事へ引き渡せる状態にする必要があります。特に既存基礎を再利用する更新工事では、基礎の劣化や水平状態が据付精度へ直接影響するため、新設設備の搬入前から確認しておくことが重要です。
—新設盤の配置順序と吊り込み順序を合わせる
複数面のキュービクルを据え付ける場合は、どの盤をどこへ置くのかだけでなく、どの順番で搬入・吊り込みするかまで決めます。奥側へ設置する盤を後回しにすると、すでに据え付けた盤がクレーン作業や横移動の妨げになることがあります。車両への積載順、新設盤の荷下ろし順、基礎上への据付順を揃えておくことで、停電時間内の無駄な吊り直しを減らせます。
—既存基礎は水平状態とアンカー条件を確認する
埼玉県の工場社員寮で行った更新工事では、既存基礎が老朽化して脆く、さらに水平状態も良くありませんでした。そのため、施工前にオートレベルを使用して高さを確認し、据付時には架台下へライナーを入れてレベルを調整しています。既存基礎を使う場合は「基礎があるからそのまま置ける」と考えず、アンカー施工が可能か、高さにばらつきがないかを確認することが重要です。
—電気工事へ引き渡せる据付精度まで仕上げる
同事例では6面+2面のキュービクルを据え付け、レベル調整まで完了した状態で停電時間内に電気工事業者へ引き渡しました。キュービクルは盤同士を組み合わせて使用するため、一面ごとの位置だけでなく、全体として高さや並びを整えることが重要です。重量鳶の据付工程を「荷下ろし」で終わらせず、位置出し・レベル調整・固定条件まで整えて次工程へ渡すことが、短い停電時間で更新を完了させるためのポイントになります。
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■埼玉県の工場社員寮で8面のキュービクルを停電時間内に撤去した事例

埼玉県の工場社員寮では、老朽化したキュービクルの更新に伴い、既存8面の撤去工事を行いました。この現場で大きな課題となったのは、単に重量のある盤を吊り上げることではなく、老朽化による腐食と、クレーンを設置する道路幅の制約です。さらに停電時間が限られていたため、現場で施工方法を考える余裕はなく、撤去順序・使用クレーン・搬出方法まで事前に決めておく必要がありました。
—既存盤の底部腐食を確認して揚重方法を検討
現地確認では、長年使用されてきたキュービクルの盤底部に錆が進行していました。内部にはトランスなど重量のある機器が収められているため、腐食した盤を通常どおり吊り上げると、底部が荷重に耐えられず内部機器が抜け落ちる危険性があります。そのため、盤の外形や重量だけではなく、底部や支持部の状態まで確認し、揚重時に荷重がどこへ掛かるかを意識して撤去計画を立てました。
—道路幅の制約から13トンクレーンで分割搬出
現場ではクレーンを設置できる道路幅が狭く、大型クレーンを配置できる条件ではありませんでした。そこで13トンのクレーンを使用し、8面のキュービクルを分割して順次搬出しました。重量物工事では、大きなクレーンを使用できれば施工できるとは限りません。道路幅やアウトリガーの展開スペース、搬出車両の位置まで確認し、現場へ設置できるクレーン能力の範囲内で施工方法を組み立てる必要があります。
—停電時間内に8面を撤去して新設工事へ引き渡す
キュービクル更新では、既存盤を撤去して終わりではなく、その後に新しいキュービクルの据付と電気工事が続きます。この現場では、停電時間内に8面すべての撤去を完了し、更新設備を施工できる状態まで作業を進めました。撤去したキュービクルは搬出後、産業廃棄物処理業者まで運搬しています。
この施工事例から分かるのは、キュービクル撤去では「何トンの盤か」だけでは施工方法を決められないということです。老朽化した盤の強度、内部重量物、道路幅、使用可能なクレーン、撤去順序、停電時間を一つの施工計画として整理する必要があります。特に既存設備の劣化が進んでいる更新工事では、現地調査で盤の状態まで確認しておくことが、当日の工法変更や工程遅延を防ぐ重要な準備になります。
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■新設キュービクルを停電時間内に据え付けるための工程管理と引き渡し条件

キュービクル更新では、既存設備の撤去が予定どおり終わっても、新設設備の搬入・据付に時間が掛かれば停電時間内に電気工事へ引き渡せません。そのため、新設側では「何面をどの順番で吊り込み、どこまで調整して電気工事業者へ渡すのか」を事前に明確にしておく必要があります。特に複数面で構成されるキュービクルは、1面ずつ独立して置くのではなく、全体の位置・高さ・連結状態をそろえる必要があるため、搬入順序と据付精度の両方が工程を左右します。
—新設盤の搬入順序を据付位置から逆算する
複数面のキュービクルを据え付ける場合、車両から降ろしやすい順ではなく、最終的な配置から逆算して搬入順序を決めます。奥側へ入る盤を先に据え、手前側を後にするなど、据付済みの盤が次の吊り込みを妨げない流れをつくることが重要です。車両への積載順と現場での据付順まで合わせておけば、吊り直しや仮置きを減らし、限られた停電時間を有効に使えます。
—レベル調整は電気工事へ渡す前の重要工程
既存基礎を再利用する場合、見た目では分からない高さのばらつきや劣化が残っていることがあります。そのまま盤を置けば、面ごとの高さがそろわず、連結や固定に影響する可能性があります。そこでオートレベルなどで基準高さを確認し、必要に応じてライナーを使用して水平を調整します。重量鳶にとって据付とは、単に機器を基礎上へ置くことではなく、次工程が問題なく作業できる状態まで整えることです。
—「どこまで仕上げるか」を関係業者と共有する
キュービクル更新では、重量鳶の後に電気工事が続きます。そのため、盤の位置、レベル、アンカー、連結状態のうち、どこまでを重量鳶が担当するのかを事前に決めます。停電時間が限られる現場ほど、据付完了の定義が曖昧だと引き渡し時に確認作業が増えます。撤去、新設盤搬入、据付、レベル調整、電気工事への引き渡しを連続した工程として設計することが、キュービクル更新を予定時間内に完了させるための重要なポイントです。
■まとめ:キュービクル更新は撤去から据付・電気工事への引き渡しまで計画する

キュービクル更新を予定どおり進めるためには、既存設備の撤去、新設設備の搬入・据付、レベル調整、電気工事への引き渡しまでを一つの工程として計画することが重要です。
特に停電時間が限られている現場では、重量物工事のわずかな遅れが、その後に予定されている接続や受電準備へ影響する可能性があります。そのため、施工当日に撤去方法やクレーン配置を判断するのではなく、事前の現地調査で可能な限り条件を確定しておく必要があります。
確認したいのは、キュービクルの重量や寸法だけではありません。既存盤の腐食状態、内部重量物の固定状態、盤の連結方法、既存基礎の劣化や水平状態、新設設備の配置、アンカー条件なども施工方法を左右します。
また、クレーンについても「設備重量を吊れるか」だけでなく、道路幅、設置スペース、作業半径、周囲の建物や電線、撤去車両と新設設備搬入車両の配置まで確認することが重要です。大型クレーンを設置できない現場では、盤を分割し、現場へ進入できるクレーンを組み合わせる方法が適する場合もあります。
新設側では、据付順序と搬入順序を合わせ、基礎上へ盤を置いた後のレベル調整まで想定します。既存基礎には高さのばらつきや劣化が残っていることもあるため、「撤去できるか」だけではなく「新しい設備を正確に据え付けられるか」まで同じ現地調査で確認することがポイントです。
キュービクル更新では、重量鳶だけ、電気工事だけを個別に考えるのではなく、どの状態まで重量物工事を完了させれば次工程へ渡せるのかを関係業者間で共有することが、限られた停電時間を有効に使うことにつながります。
—キュービクルの撤去・搬入・据付をご検討の方へ
「停電できる時間が限られている」「道路が狭く大型クレーンを設置できるか分からない」「既存キュービクルの腐食が進んでいる」「基礎をそのまま使用できるか確認したい」といった段階でも、まずは現場条件を整理することが重要です。
株式会社土屋重量機設では、重量物としてのキュービクル撤去・搬出、新設設備の搬入・据付などに対応しています。キュービクルの図面・重量・寸法、現場住所、停電予定時間、希望施工時期など、分かる範囲の情報をご用意いただくことで、現場条件に合わせた施工方法を検討できます。
更新計画が具体化する前の段階から重量物工事の条件を確認しておくことが、施工当日の手戻りを減らす第一歩です。


